ベセルカクリスタル　クリスタルって何ですか？

クリスタル製品について　　クリスタルとガラスの違い　　クリスタルの汚れ　　クリスタルと水晶の違い　　素材の品質　　素材の加工方法

クリスタルについて

クリスタルって一体何ですか？

…そういう疑問をしばしば耳にすることがあります。
　そう感じているのは、一般のお客様だけではありません。

　同じような商品なのに金額が全く違うのはなぜ？
　同じ透明なのにガラスとどう違うの？
　水晶とクリスタルは違うのですか？

　ベセルカは中国浙江省に事務所と提携工場を持ちます。VISERKR CHINA 華隆クリスタルは、韓国、シンガポール、マレーシアを初めとした東アジア、アメリカ、カナダ、ヨーロッパに数千個から万単位でのクリスタル製品の発注を請け負っています。

　日本のクリスタル市場はあまり大きいとは言えませんが、細やかなこだわりを持った商品を求められます。華隆クリスタルの宋社長は、そういった商品を、時には壊れてしまった貴重な灰皿のレプリカ1個のために10個近くのロスを出してまで製作します。

　今回、たくさんの疑問が持たれている『クリスタル製品』について宋社長に色々と教えてもらった事をレポートさせていただこうと思います。
　

クリスタル製品について

　ベセルカで通常扱っているのはクリスタル製品です。このクリスタルはK9クリスタルガラス（K9光学ガラス）と呼ばれているものです。中国ではK9クリスタルには5ランクほどあり、一般にサンドブラスト用などに出回っているのはK9-3、ベセルカで扱っているのは最上質のK9-Aもしくはその次のK9-2のクリスタルとなります。
　

クリスタルとガラスの違い

　ガラスは二酸化ケイ素(SiO₂)を主成分とした非晶質の固体です。一般的に出回っているガラスには色が着いているのは皆さんご存知ですか？この色を押さえ、水晶のように透明度をあげたものをクリスタルガラスと呼びます。中でも鉛を混ぜて色を抑えたものが古くから有名です。

　ただ、鉛を含むことから最近では敬遠され、またコストもかかることから、鉛を使わないクリスタルガラス（K9クリスタルはカリウムが使われています）が主流となってきました。

　…ただ、ガラスにもいろいろあります。詳しくはレポートの続きをどうぞ。
　

クリスタルやガラスの汚れ

　使っても無いのにクリスタルやガラスの表面が白く曇っているのに気づいたことはありませんか？これは、内部のアルカリ分が表面に溶け出しているのです。こういった汚れは酸性のもの、レモン汁で落とせます。レモンの油分で匂いがつくのが気になるなら、クエン酸を水で溶いて、やわらかい布に染込ませて拭くと良いですね。

　また、クリスタルには研磨時の汚れ、樹脂や研磨粉が付着している場合があります。これらはキズではありませんので、お湯につけておいてやわらかい布で拭いてください。
　

クリスタルと水晶の違い

　水晶、つまりロッククリスタルは天然の結晶を指します。主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)なのですが、ガラスやクリスタルとは構造が異なります。人工的に結晶化したものは人工水晶と呼びます。

　ですが、天然水晶と書かれているだけでは本物のロッククリスタルかどうかはわかりません。中国のお土産屋さんでは、天然の水晶の粉を混ぜて作ったクリスタルガラスがあるからです。そもそも中国では、水晶もクリスタルガラスも、同じく『水晶』と呼ばれているので注意が必要です。

　ちなみに、日本で『本水晶』と呼ばれているものは、クリスタルガラスです。
　

クリスタルやガラス製品の品質

　クリスタル製品の素材にはK9クリスタルが主に使われています。K9クリスタルには、中国では大きく分けて5段階ほどの品質があります。全く同じ商品でも、値段が違う場合はクリスタルの品質が違う場合があります。

　ベセルカでは、主にK9-AかK9-2のクリスタルを使用していますが、コストを抑えたい場合には他のクリスタルも用いることができます。一般的にサンドブラスト向けに出回っているのはK9-3のクリスタルガラスです。

　余談ですが、中国ではK9-3～5のクリスタルや型物ガラス製品でも、K9-Aと銘打って取引されていることが珍しくありません。信頼できる工場との取引が、中国では何よりも大切です。
　

クリスタル	K9クリスタルは鉛を含まないクリスタルガラスです。原石（クリスタルはさまざまな大きさの塊で仕入れます）は最も薄いもので8mm。それ以上薄い商品の場合は、型物（後述）に限られます。
K9-A	最高品質のクリスタルで、透明度がたいへん高く、高級感があります。超精細な内部彫刻や機械研磨を行うにはこのクリスタルでなければいけません。最高品質のクリスタルでも稀に気泡が混入しますが、ベセルカではできる限り気泡を避けて原石を使用します。 ※K9-Aクリスタルでも、型物の場合は稀に気泡が混じります。　ただ現在、中国では需要が増えて原石が手に入りにくくなっています。
K9-2	2級品のクリスタルでK9-Aよりも僅かに色づいて見えますが、透明度は高く、素人にはK9-Aとの判別は極めて困難です。太陽に透かしてわかるくらいの細かな気泡が若干混入している場合があります。主に大型のクリスタル製品に使用します。　ベセルカの一般品質品に用いられます。店長も、大きなものなら何とかK9-Aと判別できますが、小さい物の場合はほとんど区別がつきません。
K9-3	大量に出回っているクリスタル製品の多くはこのK9-3です。目に見える程度の気泡が混入してる場合があります。透明度もあり、コストも安いことから、サンドブラスト素材に用いられます。特に型物の場合、K9-Aとの区別は困難です。若干、変色する場合があります。　ベセルカでは通常は用いませんが、K9-Aの70%程度のコストに抑えることができます。
K9-4	品質が低いため、時間とともに色が付いてきます。長時間日光のあたる場所に置いておいたクリスタルが黄色く変色するのはこのクリスタルです。コストを抑えたい場合に使用できます。
K9-5	グレーがかって見えるクリスタルですが、照明によっては品質は見分けにくいかもしれません。コストを抑えたい場合に使用します。内部彫刻も可能です。

白ガラス	コストを下げたい場合や、薄い素材（4～6mm）を使用したい場合に用います。ただし、クリスタルよりも硬く、欠けやすいため、カット研磨には向きません。　板ガラスから加工する場合は、若干、色が目立ちますが、型物（後述）の場合は積み重ねない限り色はほとんど目立ちません。型物は素人には見分けられないため、クリスタルとして出回っている場合もあります。　韓国を経由し、高価な化粧箱に入って日本に入ってくる製品のほとんどはこれらガラス製品です。特に型物の場合はクリスタルとの判別は困難です。韓国にはクリスタルよりも、より安価なガラスが多く出荷されています。
白ガラス（中国製）	普通のガラスよりも透明度は高く、小口が青く見える程度です。型物に使用するとクリスタルと同じ透明度が得られます。
白ガラス（輸入品）	中国に輸入されて入ってくる白ガラスです。中国製の白ガラスよりも透明度が高く、高級感があります。
一般ガラス	全体的に緑色がかっています。

クリスタル/ガラス製品の加工

　クリスタル製品やガラス製品にはさまざまな加工方法があります。加工方法によっては、透明度が高くなるため、素材の品質の差が判断しにくくなります。

	原石からのカット加工（機械研磨）
	仕上がり：カットが美しい価格：高価ロット数：商品によって異なる素材：K9-Aクリスタル
	原石から切り出した素材を、専用の機械でカット加工、研磨します。素材にはK9-Aクリスタルを用います。ダイヤカットなどの商品に用いますが、同じダイヤカットでもサイズによって加工できるものが決まっています。　ベセルカで、商品名に上質品と書かれたダイヤカットがこの方法で加工されています。#100、#80、#60、#50、#30、#25、#20サイズのダイヤカットを小ロットから製作できます。
	原石からのカット加工（手研磨）
	仕上がり：研磨工場により異なる価格：研磨工場により異なるロット数：単品～少量素材：クリスタル
	多くのクリスタル製品はこの方法で加工されています。ベセルカでも、オリジナル製品を少量製作する場合はこの方法で加工します。工場のランク、職人の腕の差によって品質と価格が異なります。　中国でのダイヤカットの手研磨加工も、最近は品質の高い物の需要が増え、徐々に工場のランクもが上がってきているそうです。
	プレス型による加工（型物）
	仕上がり：カットがあまい価格：安価ロット数：大量素材：クリスタル、ガラス
	市場に安価に出回っている商品はこの方法で加工されたものです。クリスタル、ガラスを問わず加工できる上、素材の透明度が高くなるため、安価な素材でも高級感があります。反面、細かなカットがあまくなります。　ロットが大量となるのは、初期段階では製品に異物が入り、最初の400個ほどが捨てられてしまうからです。そのため、数千個以上での加工に向いており、少量の場合は型代が負担となります。　また、型物は姿物のクリスタルの製作に用いられます。滑らかな曲線で構成されたクリスタル像は、この方法で加工されます。

　このように、同じクリスタルでも、用途によってはより安価な素材を用いたほうが良い場合もあります。ベセルカでは商品の製作に工場にて細かな指示を出せますので、オーダー製作の際の参考にしていただきたく思います。

クリスタルについてのご説明